リウマチ初期症状

リハビリテーション療法
ポイント

●リハビリ療法は発症の初期からつづけていく
●動かさないと、骨も関節も筋肉も弱っていく
●リハビリ療法は生活の質の維持にもつながる

リハビリをしないと関節や筋肉が弱っていく

リハビリテーション
リハビリテーション(以下、リハビリ)は、とかく補完的なものと考えられがちですが、関節リウマチでは治療の4本柱の一つとなる、重要なものです。
関節リウマチになると、痛みのために関節が動かしにくくなります。しかし動かさなければ、周囲の筋力も低下し、可動域(動かせる範囲)が狭くなって、日常動作も不自由に
なっていきます。これを防ぐには、発症した初期からリハビリ療法を始めることが大切です。なぜなら私たちの体、特に運動器と呼ばれる「骨、筋肉、関節(軟骨)、腱、靭帯」は、動かすことで、正常な生理機能や新陳代謝が営まれるようになっているからです。

●骨には運動の負荷が必要

骨は、古い骨が吸収され新しい骨に置きかえられることによって維持されています。新しい骨がつくられるためには、骨に負荷(運動負荷)を加えることが必要で、そうしないと、逆にカルシウムが抜けて骨がもろくなっていきます。

●歩くことによるポンプ作用

関節の軟骨には血管やリンパ管がありません。そのため、必要な酸素や栄養は滑膜から補給されます。この補給作業には、歩くことがかかわっています。歩くと関節の内圧が上がり下がりし、そのポンプ作用で滑膜の働きが活発になって、軟骨への補給が盛んになります。
逆に、歩かないとポンプ作用が働かないため、補給がうまくいかず、酸素や栄養が足りなくなって軟骨は弱っていきます。

●使わないと弱っていく

ベッドで寝たまま体を動かさない状態がつづくと、筋力は1日に5%の率で低下し、背骨のカルシウム量は週0.9%の率で失われるといわれます。骨も筋肉も関節も、使わないと弱
っていきます。

体の状態にあったリハビリを

理学療法士(PT)
関節リウマチは滑膜に炎症が起こる病気ですので、運動は、その炎症を悪化させます。たとえば重い荷物をもったり、歩きすぎたり、いつもやらないような過重な運動をすると、翌日、炎症が悪化して関節のはれがひどくなったり、水がたまったりすることがよくあります。
関節リウマチでは、炎症が激しいときは、炎症をしずめるため安静にする必要があります。ただし安静状態をつづければ、炎症は治まったとしても、関節はしだいに動かなくなり、運動機能は下がっていきます。ここが、関節リウマチのやっかいなところです。
こういった問題を解決するためにも、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、運動療法士などの専門家に、自分の体の状態に合った適切なリハビリ法を教えてもらって、根気よくつづけることが大切です。
リハビリには、物理療法、運動療法、作業・装具療法などがあります。関節の痛みをやわらげながら動かしていく方法を身につけることは、機能の低下を防ぎ、日常生活の質を維持することにも役立ちます。

物理療法(理学療法)

温熱、水、光線など、物理的な刺激を利用し、関節の血流をよくして、痛みをやわらげる方法です。

●温熱療法

マイクロウェーブ、レーザーなどを使って深部へ温熱を届けたり、ホットバック、パラフィン浴、入浴、温泉浴、カイロなどを利用して、患部を温めます。

●冷却療法

はれや炎症が強い場合に行われます。氷のうなどが使われます。

運動療法(理学療法)

可動域が狭くならないようにする運動です。リウマチ体操のほか、筋力を強化する運動などがあります。また、関節にかかる負荷を軽減しながら行う運動療法として、水中ウオークなどがあります。

作業・装具療法

●作業療法

主に、手や手指の機能回復のために行います。編み物や刺繍などの手芸、木工、絵画、書道などがあります。

●装具療法

関節への負担を軽くし、変形の予防や矯正をします。装具は、主に手や手指、頸椎、ひざ、足底などにつけます。