リウマチ初期症状

関節リウマチの治療(テーラーメイド医療)
ポイント

●その人に合う薬を遺伝子によって判定
●試行錯誤せずに治療方針が立てられる
●遺伝子チップなどでスピーディーな解析が可能に

テーラーメイド医療とは?

抗リウマチ薬
病気の治療法には、薬物療法をはじめさまざまな方法がありますが、いずれも、その治療を受けてどのくらいの割合の人に効果があったかで評価されます。
ただし、100%の人に効果がみられるというような方法はまずありません。たとえば、関節リウマチの治療薬の中ではもっとも効果が高いとされるTNF阻害薬でも、効果がみられるのは50~70%です。
現在の医学では、「この薬の効果は何%です」とはいえても、「その人に効くか効かないか」までは断定できないのが現状です。そこで、現在、個々の人の遺伝子を解析し、その解析結果からどの薬が効くかをあらかじめ予測して治療方針を立てるとり組みが進められています。こうしたアプローチ法を、テーラーメイド医療といいます。既製服を買うのではなく、自分の体形にぴたりと合うように仕立て屋(テーラー)さんに服を仕立ててもらう方法になぞらえ、こう呼ばれています。
テーラーメイド医療は、抗がん剤などの領域でさかんに推し進められていますが、関節リウマチの薬にもこの流れがみられます。現在、血液にあらわれる遺伝子パターンから薬の効果を予測する方法の研究が進められ、ある程度可能になってきています。これが、すべての生物学的製剤に応用できるようになれば、患者さんの血液を事前に採取し調べることで、もっとも効果の上がる薬の選択が可能になります。いくつもの薬で効果を試す必要がなくなるわけですから、患者さん自身にとっても大きなメリットになりますし、高騰する国民医療費の問題解決にもつながると考えられます。

先端技術を活用

TNF
ただし現実には、ターゲットとなる分子がはっきりしているサイトカイン阻害薬ですら、薬の有効性を個々人のレベルで判定するのはむずかしいという面があります。
たとえばTNF阻害薬なら、当然、関節でTNFが多くなっている患者さんに効きそうですが、実際にはそう簡単ではありません。TNFにかかわる遺伝子はいくつもあるので、それを探し出し、そのうちのどの遺伝子にアプローチすれば効果の予測に使えるのか、なかなかわからないのが現状です。
ただしそれは、あらかじめ候補遺伝子をしぼってアプローチしようとするから外れるわけです。人の遺伝子は数万個ですので、全部の遺伝子を検索し、その中から役立ちそうな
ものを見つけていけばよいのです。以前は、こういった作業は技術的にも困難で、時間もかかりました。
しかし最近では、一度に数万個の遺伝子を解析できる遺伝子チップやマイクロアレイと呼ばれる革命的な方法が開発され、かつては数カ月もかかった解析が、数口日でできるようになっています。
この画期的な技術を使って、患者さんの血液から生物学的製剤の効果の有無を判定する試みがすでに始まっています。現実化するのはそう遠くないことと思われます。